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FL StudioのSmart DisableとSerum FXの相性が悪い問題
はじめに
Serum FXはSerumに付属するエフェクターモジュールを切り出して単一のプラグインとして利用可能にしたDSPプラグインです。本家SerumはVST3i、VSTi、Audio Unitなどの楽器プラグインとして動きますが、Serum FXはミキサーのFXチェーンに挿入して使います。今回、Serum FXとFL StudioのSmart disable機能を併用していて、挙動がおかしな点が見られたので、Smart disableを無効化する迂回策を紹介します。
環境
今回検証に用いた環境は以下の通りです。
- Windows 11 Pro 23H2
- FL Studio All plugins Edition 24.1.1 build 4285
- Serum FX 1.368 (Oct 8 2023) / VST3
実際の問題
Smart disableがNote Latchが有効なSerum FXに適用されると、Serum FXのLFOが停止し、LFOのモードはTriggerかつLFO Anchorが有効でも、復帰時に正常な再生位置でLFOが開始しません。
どういうことかというと、仮に4拍目中3拍目でSerum FXの動作がSmart disableによって停止され、それに伴ってLFOが止まったとします。この時、実際に音が鳴る箇所、すなわちLFOが再開してほしい場所が4拍目中1拍目だとしたとき、期待するLFOの再生位置はその位置ですが、実際のところ4拍目中3拍目からスタートする動作をします。
以下の動画は、以下の順番で再現を試みている様子です。
- 通常再生
- Serumが当該機能によって停止するのを待つ
- 不具合発生
現状の迂回策
Serum FXをホストしているPlugin Wrapperを開き、左上のメニューからSmart disableが適用されないよう無効化する。
Serum FX
まず、今回の挙動を理解するために簡単なSerum FXの挙動の説明から行います。まず、Serum FXはデフォルトで入力から音をパススルーします。特に何もしなくても、プラグインに入力された音はSerumのFXチェーンを抜けて、ウェットな音が出力されます。
他方、ユーザー定義のLFOやエンベロープを稼働させたいときには、手動でSerum FX側にNote Onを送信する必要があります。例えば、テンポに合わせてフィルタモジュールのCutoffにアサインにLFOをアサインして、揺らしたい場合は、別途Serum FXにMIDI信号を入力する必要があります。
この仕様は、ユーザーが好きなタイミングでエンベロープやLFOを動かせることを可能にするため望ましいです。一方、何もせずともずっとLFOが動いてほしい場合もあります。この場合は、Note Latchモードを使います。
Note Latch
Note Latchモードを有効にすると、Note Onを送信しなくても、Note Latchがアクティベートされている限りずっとNote Onが動作するようになります。Note Onの信号がある限り、LFOも稼働条件を満たします。このため、通常であればLFOは回り続けます。
Smart disable
Smart Disableはプラグインのアイドルを検知してプラグインの動作を止め、リソース節約を図るFL Studio本体の機能です。筆者調べでは、約4秒間音声出力がない場合、プラグインの動作を止める挙動をします。これが、今回の問題に影響を及ぼしていたようでした。
おわりに
この記事が役に立てば幸いです。
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