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FL StudioのPPQを変更してCPU負荷を減らす

FL StudioのPPQを変更してCPU負荷を減らす

PPQとは?

Pulse Per Quarter の略語で、そのプロジェクト上での4分音符の基準となる長さを決定する値。この値が短ければ短いほど、DAW内部のエンジンとMIDI側の同期をより短い間隔でとらなければならないので、結果的にコンピューターのリソースを消費する。

FL Studioでは、Project Settings > Time Settings からこのPPQを自由に選択できる。

Time Base (PPQ)というやつです
PPQを自由に選択できる

細かなPPQは、拍にしっかりスナップした曲や、打ち込みをベースとした曲に関しては聴き心地にあまり影響を及ぼさない。細かなPPQが必要なのは、MIDIの生演奏で記録したデータの揺れをそのまま表現したいとき。たとえるならば、画像データでいう解像度、音声データで言うサンプリング周波数やビット深度に等しい。

例えば、以下の画像はPPQを24に設定したときのそれぞれの音価(音の長さ)を表す。この場合、PPQが24のときに打ち込める最短の音符は32分3連符ということになる。

音符の長さとPPQ (Pulses per quarter) =24の時の関係
音符の最短長とPPQが24の時の関係

効果

PPQを最大の960と最小の24にしたときのそれぞれのパフォーマンスモニターの比較。PPQが960のときは、過負荷を起こして音がブツブツになっている。

PPQを最小に設定したとき
PPQを24に設定したとき
PPQを最大に設定したとき
PPQを960に設定したとき

以上はやや極端な比較ではあったが、実際にCPU負荷は減るのでもしCPU負荷に困っていたら試してみる価値はあると思われる。筆者の環境では、96から24に落とす設定をすると10%ほどCPU使用率が減った。

PPQは表現とのトレードオフの設定

これを少なくすればするほど、再生中やレンダリング時のCPU負荷を減らすことができるが、実際は以下の現象とのトレードオフになるので注意が必要。逆に言えば、PPQを増やすほど、以下の現象とは逆のことが起こる。

PPQより短いノートは表現できない

PPQをより低いほうへ設定すると、前で設定した音価より短いノートがある場合、ノートの位置が移動してしまう。またそのPPQにおける最小のノートの間隔に合わない場所にノートが存在する場合、音価が変わってしまう。

アルペジオの長さ

Channnel Setting内でアルペジオの設定をしていた場合、この設定値は 1:00 や 4:00 といったような相対値となる。したがって、ゲートタイムやタイミングの設定が狂ってしまう。

TIME値が相対値で保存されている例

オートメーションが滑らかでなくなる

FL Studioのオートメーションの精度はPPQ値に依存する。したがって、PPQが低ければ低いほどオートメーションクリップの再現性が低く、高ければ高いほどより忠実になる。

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